[PHOTO] 最奥への旅 四日目
平日ということもあり、復路は直前にもかかわらずチケットがとれたため飛行機で帰京した。往きとは大違いで移動時間は数時間しかかからなかった。
今回の旅は、そもそもリービ英雄の「最後の国境への旅」を読んだことがきっかけだった。そして津軽と言えば、太宰治の「津軽」。僕はこの二冊を抱え旅に出かけた。旅の途中途中でこれらの本を読みながら、文章の中から湧きでた津軽のイメージと、実際に見た津軽のイメージとの”同期”と”ズレ”を楽しむ旅だった。そして、僕自身は文章でなくカメラを持ってのイメージの旅だった。
意外な収穫は、太宰が「津軽」に描いた風景を実際に見ることによって、彼の文章が具体的なイメージとして僕の中に肉付けされ、さらに豊かに味わうことができたことだ。もちろんリービの描いた津軽も良かったけれど、彼が津軽を訪れたのは真冬だったようなので、真夏のすがすがしい季節の津軽とでは少々感じられかたが違ったかもしれない1。今年は初春に沖縄に訪れ、真夏に津軽を訪れと本来ならば行く季節を逆にすべきだったかもしれないと少し思った。
少し残念だったのは、津軽富士とまで呼ばれている岩木山をクリアに見る機会がなかったことだ。いつも頂上のあたりが雲に覆われていてその全容を確認することは叶わなかった。それでも周りに何もない平らな津軽平野からみると相対的にその威容を感じることはできたけれど。
今回はGPS機器を四六時中携帯していた。帰宅後にこのデータをGoogle Earthに被せて眺めているといろいろな光景を思い出してとても楽しい。特に驚くような出来事に出会うことはなかったけれど、たっぷりある時間を使ってとめどもなく思考する時間もあったし、何よりも訪れた場所の一部からは静謐ではあるけれど圧倒的な印象が僕の心の中に入りこんだ旅でもあった。
反対に太宰の「津軽」は春。↩︎