[PHOTO] 日録
[MOVIE] 「硫黄島プロジェクト」2作
近所の映画館で「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」のいわゆる硫黄島プロジェクトの映画2作が上映されていたので暇にまかせて観に行く。今さらながらではあるが今日は映画の日でもあり、たった1000円で2作も観れてとても徳した気分だ。
結論から言うと、どちらもお勧め。
この二つの映画は共に太平洋戦争終盤の激戦であった硫黄島の戦いをモチーフとしている。そして現代から当時を回想する形で物語が進行していく。どちらの映画も現代のシーンと回想(メインの硫黄島戦当時の)シーンは映像の処理が明確に異なっており、回想シーンでは周辺(特に画面の上部下部)部分が暗く落しこまれ、さらにコントラストも比較的高くかつローキーな映像となっていた。
「父親たちの星条旗」
激戦地である摺鉢山の頂上に、米兵によって星条旗が掲げられる場面をとらえた有名な写真”硫黄島の星条旗”にまつわる話を綴った映画である。この写真が伝えられると、戦時国債の売れゆき低迷に悩む米国政府はこの写真の写っていた三名の”英雄”を本国に送還させ国債販売キャンペーンに利用する。結果としてこの一枚の写真を巡って、“大人”たちによる政治的利用、“英雄”に祭りあげられ、利用しようとした/された兵士たちのエゴ・苦悶が描かれていた。
この写真ほど人々に”英雄”のシーンをイメージづけたものはないかもしれない。その旗を掲げつつある構図はあらゆるイメージに転用1され、今もなお大きな影響を与えていることは有名だけれど、写真は撮られた後においては、撮った/撮られた人の意思など無関係にそのコードの奔放さから如何様にも読まれていくものであることを端的に示している。実際「台風によって倒れそうになった旗を支える米兵」なんてキャプションだって可能だ。
「硫黄島からの手紙」
「父親たちの星条旗」がアメリカ側の硫黄島であったの対し、こちらは日本側からの硫黄島を描いた映画。ハリウッド映画とはいえ俳優のほとんどは日本人である。「〜の星条旗」が星条旗(の写真)を軸に物語が進むように、この映画ではタイトルにあるように硫黄島に赴いた日本の軍人たちの家族へ宛てた手紙を軸に物語が進んでいく。。。と言いたいところだが物語の上からは手紙そのものはあまり重要ではなく、むしろ玉砕し果てた日本軍人も家族を思い、できることなら生きのびたいと思う普通の人間であり、いわゆる戦争映画のように敵は冷酷なモンスターではないといったところが基底をなしているのだろう。この映画では「〜の星条旗」以上に戦闘シーンなどに重きをおかれず登場人物たちの心理を詳しく描いている。
また、例え”合理的な精神”を持った人物であろうとも宿命られた負け戦からは逃れられず、その過程で如何に合理的精神を発揮しようとも”非合理さ”に押し潰される2という悲しい物語でもある。こういうのを義に殉じたというのだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿