[BOOK] 内乱記
ローマ共和制末期のカエサル対ポンペイウスとの闘いを、当事者であるカエサルが記したもの。
カエサル自身を表すのに、「私は〜」とかの一人称ではなく、「カエサルは〜」と固有名詞で記述されているところなど、文体はガリア戦記と同じだが、ガリア戦記ほどのすっきり感がない。やはり、他民族征服記であるガリア戦記と違って、同じローマ市民同士の闘いのため、カエサルの筆も言い訳じみているのだろうか。
[BOOK] SELF AND OTHERS
牛腸茂雄の写真集。
静謐な写真集である。ページをめくった途端に衝撃を受けるような暴力的な写真ではない。立ち読みでパラパラと一度めくっただけでは、ただの記念写真のように思えてしまうかもしれない。
しかし、何度となくページをめくっていくと、じわじわと自分の心の欠けてしまったある部分を埋めてくれるような感情が湧きおこってくる。
「自己と他者」、題にあるように写真に写された他者を見つめる視線は、写っている多くの他者と撮影者との間には越えることのできない(あえて越えようとしない)距離感を感じさせる。まるで、無垢なものには手を触れないかのように。それは、1枚目の赤子の写真と最後のグランドを走り去る子供たちによって、さらに強く感じさせられる。
最近は、夜中に一人机の前で静かに瞑想していると、この写真集を開いて眺めていることが多い。
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