[BOOK] 夢と魅惑の全体主義
第一次世界大戦後に世界に出現したファシズム(とみなされえる)国家における政治と建築について述べられたもの。こういうとファシズム体制と建築がどこの国でも密接に関連しあい、同じような建築傾向をみせていたように思われるがそうではない。ドイツにはドイツの、イタリアにはイタリアの、ソビエトにはソビエトの事情があり統一的な建築様式的結論は読みとれない。しかし、この本を読んで思うのは、わが日本の貧相ぶりである。他の国家は、建築様式の好みが違えど、建築によって為政者の権威や国威発揚を狙った建築が推進されたりもしている。しかし日本は、単に建築なんぞに鉄骨使ったら軍需物資に回す鉄が少なるから禁止!である。なんという余裕のなさ、貧乏ぶり!であろう。いくらだらだらと戦争していて戦時体制だからといってこれでは負けるのもあたり前の貧乏ぶりだ。
話変わって、1920-30年代の和風ビル(帝冠様式というらしい)は実用的(モダニズム建築的)な観点からすれば、無用の長物である瓦屋根をのせたものであまり評判はよろしくないらしい。だけれど、私は以前、茗荷谷の外務省の施設にそれらしき建物をみかけてなかなかいいなと素直に思ったことがある。むしろ歴史的必然のない日本に西洋風のギリシャ風列柱、ゴシック様式その他の建物を建てることの方が余程滑稽に思う。
モダニズム建築もル・コルビジェのデザインしたものなどを写真などで見たりすると素直に良いなと感心するけれど、それが徹底的に大衆化されてしまうと結局、無味乾燥にみえる角型の箱が立つ団地建築になってしまうように思える。そしてそれらの建築に付随する庶民ったらしいみすぼらしいイメージに上塗りされて。。。
団地も出来初めたころは清心な新しいイメージでとらえられていたらしいが。
以上、建築どころか建築史にもシロートな人間の感想。
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