2023/12/30

映画「ドラキュラ」

 Amazon prime videoにて映画「ドラキュラ」を観る。ウィノナ・ライダーが大好きだけれど、この作品は見逃していた。彼女が一番美しく見える作品として、リアリティバイツだと思っているけれど、この作品の彼女も美しい。リアリティバイツが1994年公開で、このドラキュラは1992年公開なのでそれより少し前だ(ちなみに、ナイトオンザプラネットが1991年)。

監督がコッポラで、出演俳優にウィノナ・ライダーの他に、アンソニー・ホプキンス、キアヌ・リーブスなど錚々たるメンバーだ。

2023/12/16

ホンマタカシ ニュードキュメンタリー映画『きわめてよいふうけい』


東京都写真美術館で開催されている「即興 ホンマタカシ Revolution 9: Homma Takashi」展に連動してホンマタカシの映像作品が美術館1Fのスクリーンで上映されている。以前から観たいと思ってい他が機会に恵まれず逃していた「きわめてよいふうけい」を今回観ることができた。2004年の作品とのことだが、同時期(2006年公開)に小原真史が撮った「カメラになった男 写真家 中平卓馬」の方は、吉祥寺の映画館で2回ほど観たことがある(その時のweb日記のデータは残念ながらHDDクラッシュで紛失してしまったので、どのような感想を書いていたのか今ととなっては思い出せない)。ホンマタカシ作品の方が以前から観たいと思っていて今回長年のToDoの一つをやっとこなしたという感じ。
ぼそぼそと話す中平の言葉はよく聞き取れないが、時に何か真剣に訴えているような、アジっているような感を受ける。

最後に白い画面の中の小さな四角い枠の中で中平が口をもぐもぐと動かしつつ笑った表情などを見せるカットが入っている。ここだけ他のシーンと比べて年取っているように見えたが、どうやら2016年にホンマタカシの特集「ホンマタカシ ニュードキュメンタリー映画 特集上映」で、新たなショットを追加とあるので、中平の最晩年の映像を追加したものだろうか(中平が亡くなったのが確か2015年)。

2023/11/24

永遠の都ローマ展

 




東京都美術館で開催している「永遠の都ローマ展」に行く。複製だが、有名なカピトリーノの牝狼の像から展示は始まる。この像の二人の子供(ロムルスとレムス)は、ルネサンス期に後から加えられたものだということを初めて知った。ということは、この狼はローマの建国神話とは全く関係なかったものだったのかしら。古代ローマ皇帝などの肖像も多く展示されていた。カエサルの装飾のない中年親父っぷりに比べ、アウグストゥスの(神経質に見えるが)若く美男子として表現されている肖像に、絶大な権力を握ったアウグストゥスへの忖度を感じる。
以下、その他の感想。
コンスタンティヌス帝の巨像(頭部)の大きさには驚く。その表情もなんとも威厳に満ちたものだ。
教皇グレゴリウス9世の肖像モザイクは顎がしゃくれている。モザイク作者は忖度しなかった?
カンピドリオ広場は、今度Googleマップなどで現在はどうなっているのか確認してみたい。
教皇ウルバヌス8世の肖像、右手の構えが領域展開している!
トラヤヌス帝記念柱、よく見ると柱のさまざまな高さのところに、縦長の長方形の窓?のようなものが見える、そしてさらによく見ると、地面近くやてっぺんには扉のようなものがある。もしかして柱は中に螺旋階段などがあるのだろうか。実は柱ではなく、塔?
歌川豊春の浮世絵「阿蘭陀フランスカノ伽藍之図」は、フォロ・ロマーノの遺跡の色が神社仏閣のような彩色になっているのが面白い。


2023/10/15

ホンマタカシの換骨奪胎

 


即興 ホンマタカシ」展を見た後、東京都写真美術館内のNADiffにて図録を購入しようとしたところ、図録がまだ完成していないようで予約。その代わりに「ホンマタカシの換骨奪胎」が目についたので購入。この本の中に今回の展示につながると思われる話が書かれてあって勉強になった。

2023/10/13

即興 ホンマタカシ Revolution 9: Homma Takashi

 

東京都写真美術館で開催されている「即興 ホンマタカシ Revolution 9: Homma Takashi」展に行く。カメラオブスクラの手法で撮影された建物、富士山などの風景写真が倒立像や正立像で展示されている。また、ピンホールを示しているのだろうか、丸い鏡(追記1)が天井からいくつもぶら下がってその周りの壁いっぱいには街の風景写真がプリントされているインスタレーション。他にも、カメラオブスクラを表しているのだと思われる、会場の中央にはどこにも入り口がない部屋・・・だが四辺には丸い穴が開けられていて、中を覗くと「9」や「Revolution」と書かれた写真が映し出されている(この部屋には中央にピアノとドラム?二台が置かれている)。

展示の趣旨を予習しないで行ったので、なぜ丸い穴?倒立像?とか戸惑い、給水タンクが写っていたりしたので、ベッヒャー?とか思ってしまった。

会場の最後の空間には、女性がうつ伏せになったヌード写真があったけれど、これはどういうものなのかしら、カメラオブスクラ(暗室)"で" or "の中で"撮影したもの?、他にも水滴のような抽象的な写真もあったけれど、これもどちらなのだろうか。

あと、サブタイトルにもある「Revolution」や「9」はに何か意図・意味がありそうだけれどわからない(追記2)。

追記1:鑑賞後に立ち寄ったNADiffで購入した「ホンマタカシの換骨奪胎」によると、おそらく本展示の鏡は太宰府天満宮の神幸式大祭で道真公の御神霊が乗る御神輿についている六つの鏡からヒントを得たインスタレーションのようだ。

追記2:展示案内のページに書いてあった。

本展の英題「Revolution 9」は、イギリスのロックバンド、ビートルズが様々な音源を元にコラージュのように制作した、同名曲へのオマージュとして捧げられています。

追記3:清里フォトミュージアムでカメラオブスクラの体験をしたことを思い出した。眼が慣れるまでピンホールを通して映る絵は見えてこない。

2023/09/22

テート美術館展 光 / Works from the Tate Collections LIGHT

 

国立新美術館で10/2まで開催している「テート美術館展 光 / Works from the Tate Collections LIGHT」展に行く、金曜日とはいえ平日の午前、会期も終盤という時期にも関わらず結構混雑していた。
お目当ては、ターナーの作品。実物はそんなに大きくない(78cmx78cm)。細部をよく凝視しているとモヤっている中にも何かが描いてあるのがわかって面白い。
他にも、気になっていたヴィルヘルム・ハマスホイの作品も初めて見ることができた。なんだろう、ずっと見ていると静けさが不気味さに変わってくる感じがある。
「光」がテーマなので、絵画のほかにも、写真や立体作品も会場の後半に多数展示されていた。

2023/08/28

シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画 ー横山大観、杉山寧から現代の作家まで


 ポーラ美術館に行き、開催されていた「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画 ー横山大観、杉山寧から現代の作家まで」展を観た。美術館のコレクション目当てに行ったのだけれど、コレクション自体は絞った数しか展示されていない様で、メアリー・カサット「劇場にて」、ハマスホイ、ドガ「踊りの稽古場にて」「スパニッシュ・ダンス」、セザンヌ「アルルカン」等しか見れなかった(「西洋絵画とガラス工芸」展)(展示リスト)。

シン・ジャパニーズ・ペインティング展の方は、正直日本画についてあまり知識がないのだけれど、野口哲哉のEnergy Notchは印象に残った。

2023/08/14

Nへの手紙 森山大道

 

森山大道の新刊写真集。1年前(22年頃?)に彼が撮った逗子・葉山・鎌倉の写真。タイトルのNとは(もちろん?)中平卓馬のことだ。昨日の「挑発関係=中平卓馬×森山大道」展の影響で、ミュージアムショップでも売っていた掲題の本を帰宅後どうしても欲しくなりAmazonで発注。翌日(つまり本日)届く。便利な世の中である。

コロナ時代の風景ということもあって、マスク姿の人が多く写っている。写真に映り込んだ森山さん自身もマスクをしている。写真は森山大道そのものだが、時代も映り込んでいて楽しい。森山さんが中平卓馬と過ごした逗子近辺の思いを馳せながら、彼の思い出を擬似体験するかのようにこの写真集の写真を眺めていた。昨日の写真展でもこの本に掲載されていた写真は展示されていたはずだけれど、やはり写真集は良いですね。自宅でリラックスしながらじっくり見ることができるので、色々な発見がある。

2023/08/13

「挑発関係=中平卓馬×森山大道」展

 


台風が近づく中、神奈川県立近代美術館葉山館で開催中の「挑発関係=中平卓馬×森山大道」展に行く。お昼頃に美術館に着いたときは、雲間に少しだけ青空が覗く蒸し暑い天候だったけれど、美術館を出る時には、激しい雨で一色海岸では波がうねっていた。逗子・葉山にゆかりの深い、中平卓馬と森山大道の関係を取り上げた写真展。久しぶりに二人の写真を見た気がする。写真に少しでも興味ある人ならば、二人のことは知らないことはないと思うし、実際二人の写真・文章は私もよく見てたり・読んだりしてきた。二人は同い年で、PROVOKEで〜、云々は知識として勿論あった。中平さんが2015年に亡くなってから、中平さんの写真展って実はこれが初めてだったりするのかしら。

二人の写真を同じ展覧会で見て改めて思ったこと。才能ある、あるいは同じエリア(この場合写真)に熱意を持ったもの同士が出会い・交流することの凄さというか、刺激というか、とても羨ましく思えた。嫉妬を覚えるくらいに。

図録もミュージアムショップで展覧会後に買った。これがまたとても素晴らしい。二人に対するある程度のフォロワーなら、見たこと・読んだことある内容も多いが、改めて二人の関係・逗子・葉山に絞った内容でコンパイルされた写真・文章はこれまでの二人に対する記憶を呼び起こさせる。図録を読んでから、展覧会に行った方が良いのではないかと思わせるくらい。森山さんはたくさんの写真を発表しているので、その全てを見たわけではなかったけれど、今回刊行を続けている雑誌?「記録」からと思われる写真がスライドショーで映写されていて一体いつ一周するのかと思うくらい延々と見飽きぬ写真を見れたことは幸せだった。また、図録にはその「記録」2015年11月号に掲載された中平さんの告別式後の森山さんの文章が載っていて、それがまた素晴らしいかった。

何事も突き抜けるって凄いと思う。齢50になってしまった僕には、この一点で二人に嫉妬する。

P.S. 森山さんの展示されていた写真をよく見ると、インクジェットと書いてある。今時はもう印画紙ではないんですね。

2023/07/17

デイヴィッド・ホックニー展

東京都現代美術館で7/15から開催されているデイヴィッド・ホックニー展に早速行く。3連休の最終日で混在しているかなあと思ったけれど、ギュウギュウで鑑賞すらままならないというほどでもなくてよかった。ゴッホ、ゴーガン、あるいは浮世絵の影響なんかも感じられる。僕は彼のポートレート作品よりも風景画がの方が好きだ。色彩鮮やかな風景。1階に展示されていた、春の到来シリーズのiPad作品(The Arrival of Spring in East Yorkshire)や90mのまるで絵巻物のようなノルマンディーの12か月(A year in Normandy)がとても良かった。

2023/07/08

映画「INDIANA JONES and the DIAL OF DESTINY / インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」

 

久しぶりのインディ・ジョーンズ。ハリソン・フォードの年齢も考えるとアクションとか不安もあったけれど、よく出来ていて、インディ・ジョーンズを期待して見に行った人を裏切らない出来栄えだったと思う。ジョン・ウィリアムズのテーマ音楽を聞くと相変わらずワクワクする。

ただ、最後の「現代」に戻ったシーンは蛇足のようにも感じた。単に「現代」に戻れたところで終わっても良かった気もする。

2023/06/23

マティス展 Henri Matisse: The Path to Color

 

東京都美術館で開催中のマティス展に行く。平日にもかかわらず、それなりに人がいて、絵によっては近くで見るために待たなければならなかった。

絵だけではなく、彫刻や切り絵なども多く展示されている。ワカメ?の模様の切り絵ですね。

初めて入選した作品からヴァンスロザリオ礼拝堂まで、作風の変遷を見ることができて面白かった。初期にはなかった輪郭線が段々現れ、はっきり濃くなっていく。あと結構下書きが見えるように残っていく。

2023/06/18

「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」展

 


アーティゾン美術館で開催中の「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」展に行く。抽象絵画ということで、セザンヌから、フォービズム・・・、そして抽象絵画・彫刻、と流れに沿った展示になっている。カンディンスキーあたりまではまだ抽象と言っても、タイトルを見て、絵を見れば、絵の中に何が描かれているかが見えてくる。しかし、その先に行くにつれ、タイトルが無題だったり、番号だったり、「作品」だったりしてくるともう何の抽象だかもわからなくなる。質感だったり、色彩だったり、偶然の交線などを、意味をもたず鑑賞するものなのだろうか。また、絵のサイズがどんどん巨大化する。これを飾れるのは広大な壁を持つ富裕層の大邸宅にしか飾れないだろうなあ。そういった豊かさを自慢するために、これらの巨大な抽象画が持て囃されたのかしら(いきなり美術館に飾る訳でもないわけで、富裕自慢のために巨大サイズであることに需要があったのか)。

(”始まり”のセザンヌ)

2023/06/11

映画「「ゴヤの名画と優しい泥棒 The Duke」

 

 
実際にあった話をもとにした映画らしい。アマゾンプライムビデオのキャンペーンでレンタル。最初は淡々としていたが、裁判が始まった辺りから面白くなった。

2023/06/10

特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造

 

上野の森美術館で開催されている「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」に行く。パレオアート(古生物美術)というらしいが、恐竜を描いた絵、絵、絵。恐竜の化石が「発見」されて以降、化石から想像して描かれてきたものだけに、研究などの進展によって、同じ恐竜でも時代によってその姿は結構違っていたりする。

誰も恐竜が生きていた時代に生の姿を見たことがないので、多分に想像に頼って描く訳で、頭部を隠すと、サイ?イルカ?ワニ?と現生生物そっくりの姿で描かれていたりする。背景もティラノサウルスひとつとっても、森・ジャングルの中にいたと思うと、砂漠地帯にいたりする。

追伸:週末で混雑した会場で、電動車椅子の方が、大きな声と傲慢な言いようで「すみません!すみません!この絵を見たいんですけどーどいて下さい!」何度も割り込んでくる。他の人は礼儀正しく並んでいるのに、並ぼうともせずに割り込んできて、気持ちの良いものではなかった。

2023/06/04

キリスト教美術史 東方正教会とカトリックの二大潮流

 

キリスト教黎明期のカタコンベからビザンティン、ルネサンスからバロックまで、新書なのでサイズは小さいがカラー図版が豊富で楽しめた。

画商が読み解く 西洋アートのビジネス史

 

今、私たちが考えるアートというものは、だいたい19世紀のフランスから始まったとのこと。そして、今は、作品一点一点というより、作者そのものをブランド化することによって、価値を高めていく。一点ものの審美的な価値からブランド化への変化に19世紀フランスの万国博覧会が大きな役割を果たしていた事などは、勉強になった。

2023/05/13

「重要文化財の秘密」展

 

東京国立近代美術館で開催されている「重要文化財の秘密」展に行ってきた。会期が5/14までという事もあってなのか多くの人で混雑していたが、マネージメントがしっかりしているのか、じっくり見ることができた。重要文化財に指定されている作品の多くが展示されるとあって、とても楽しみにしていた。展示は、1.日本画、2.洋画、3.彫刻、4.工芸、という順路であった。私は洋画に興味があって赴いたのだけれど、一番衝撃を受けたのは日本画だった。今村紫紅、印象派やゴッホ入っていませんか?富岡鉄斎、ゴーガンはいっていませんか?普段目にしていた伝統的な日本画とは全く異なる絵で衝撃を受けると共にとても興味が湧いた。

ちなみに重要文化財とは、上記東京国立近代美術館のwebページによれば次のものです。

重要文化財は、1950年に公布された文化財保護法に基づき、日本に所在する建造物、美術工芸品、考古資料などの有形文化財のうち、製作優秀で我が国の文化史上貴重なもの等について文部科学大臣が定めたものです。そのうち特に優れたものが「国宝」に指定されます。

2023/05/03

佐伯祐三アトリエ記念館

 

下落合にある佐伯祐三の自宅兼アトリエを、新宿区がアトリエ部分を残し記念館として公開している。散歩がてらということで鬼子母神前駅から歩いたら結構疲れた。。庭は公園として公開され、木々の中にベンチなどが置かれている(今年初めて蚊に刺された。。)。

彼がこのアトリエで作品を制作したのはおそらく数年しかないと思うけれど、その後は夫人が使用したのだろうか。

2023/05/02

「ブルターニュの光と風」展

 


新宿のSOMPO美術館で開催されている掲題の展覧会に行く。ゴールデンウィーク中ではあるが、午前中に行ったところ混んでいなく、ゆったりと見ることができた。
ブルターニュ(ブリテンのという意味らしい)にちなんだ展覧会というと国立西洋美術館でやっている「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」展へ3月に行ったが、同時期にブルターニュをテーマにした展示会が開催されているのは単なる偶然なのかしら。
”ブルターニュ展”2度目ということで、知識もついたためか、とても楽しめた。また、サロン画家の絵も大画面で迫力があり、実に良かった。
今回の展示でよかった3点。
  • アルフレッド・ギユ(Alfred DUILLOU)「さらば!」(大画面で大迫力!)
  • アルフレッド・ギユ(Alfred DUILLOU)「コンカルノーの鰯加工場で働く娘たち」(表情が素敵!)
  • アンドレ・ドーシェ(Andre DAUCHEZ)「ラニュロンの松の木」(輪郭線が良い!)

2023/05/01

ルーヴル美術館展 愛を描く

 


国立新美術館で開催中の掲題の展覧会に行く。ゴールデンウィーク中という事もあって混んでいた。アモル、クビト、プットが沢山。愛をテーマに集めた作品の展覧会で、愛と言っても性愛に繋がる・示唆する作品が多い。

2023/04/22

夕霧花園 The Garden of Evening Mists

 

どこか(確か日経新聞だったか)で書評を読み、気になって購入。2021年に映画にもなっているらしい(多少設定など異なっているよう)。

久しぶりに、純文学?を読んだ気がする。著者のタン・トゥアンエン(陳團英)はマレーシアの人らしいが、英国に留学していたり、2012年マン・ブッカー賞の最終候補に選ばれているとあるので、原文は英語で書かれているのかしら。

太平洋戦争前後の今のマレーシア(マラヤ)を舞台にした小説。現地に住む日本人庭師(で彫師)とマラヤの中華系の女性(戦争中には日本軍から非道い目にあう)との恋愛?を回想の形で綴ったもの。舞台が太平洋戦争中・戦後の共産ゲリラが跋扈する時代のマラヤということで、かなり過酷な状況の中で物語が進む夢が、何か静謐な時の流れにいるような不思議な感覚に襲われた物語だった。

一点、庭師が彫師でもあるという設定はリアリティとしてあり得るんですかね。そこは少し気になった。

2023/03/21

「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」展

 


国立西洋美術館で開催されている「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」展へ行く。今日は今朝からWBCの準決勝でメキシコ対日本戦をTV観戦して、9回裏の日本の劇的な逆転勝利の興奮も冷めやらぬうちに美術館へ。フランスのブルターニュはフランスの中で少し異国を感じる場所であったらしい(少なくとも19世紀末あたりでは?)。彼の地の風景や風俗を描いた画家を特集している。図版も購入したが、まだ読んでいない(これからじっくり読もう)。私的に一番面白かったのは、ゴーガン。初期の絵は印象派している、が、のちにはあのゴーガンの絵になっていた。

2023/03/11

深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ

 

東京都写真美術館で開催されている深瀬昌久の回顧展を観に行く。深瀬の写真集「父の記憶」は私が写真を初めて間もない頃、一番最初に衝撃を受けた写真集だった。今回は回顧展ということで、各作品テーマごとに分類された写真が集められて展示されていたため、どうしても一つ一つのテーマの写真は内容(枚数)も薄く(少なく)なってしまって残念だった。回顧展という性格上仕方のないことだけれど。家族の写真などはもっと多くあると、その中に写る、もしくはどうしても感じてしまう時間(時の流れ)とその行き着く先の死や離別をもっと感じることができただろう。図録も購入したが素晴らしい。彼の写真集は、ほぼほぼ古本でしか手に入れることができなくなっている現状を考えるととてもリーズナブルだ。

2023/02/26

レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才

 


東京都美術館で開催されているエゴン・シーレの企画展に行く。エゴン・シーレ展と銘打っているが、レオポルド美術館の収蔵品展なので、他の作家の作品も展示されていた。が、しかし、シーレの絵が一番印象に残りますね。例の自画像なんかもサイズはそれほど大きくないのにも関わらず存在感は圧倒的でした。

2023/02/15

恋するフェルメール

 


有吉玉青著。フェルメールを愛する著者が36作品をめぐる旅を書いた随筆集。今見たら、白水社版は絶版のようで、新たに講談社から文庫が出ている。37作品と1作品増えているようだ。自分が好きな画家の作品を全部見ていくというのは楽しいだろうなと思う。

2023/01/28

「佐伯祐三 自画像としての風景」展

 


東京ステーションギャラリーで開催している「佐伯祐三 自画像としての風景」展へ。初めて東京駅にある当ギャラリーに行ったけれど、赤煉瓦の壁が佐伯祐三の絵とよくあっていた。

佐伯の絵は、太く黒い輪郭線、平面的、傾いた垂直線や水平線、どちらかというと暗い色合い、赤茶色が目に付く(ことが多い気がする)といった特徴を感じた。また、筆に勢いを感じる。一つの作品を仕上げるのにあまり時間かかっていないような印象。一部を除き暗い画面が多いので、部屋に飾ると少し暗くなりそうだなと思う。100点あまりの展示を一度に見れたのは良かった。

私が良いなと思った3点は、下落合風景(たくさんあるけれど、右に赤い屋根と電柱が見えるもの)、門と広告(テカっている方)、郵便配達夫。

2023/01/22

鈴木信彦「TOKYO HEAT WAVE」展

蒼穹舎ギャラリーに掲題の写真展に行く。というか鈴木信彦さんの写真集「TOKYO HEAT WAVE」を手に入れたくて、調べたら今日までギャラリーで展示もやっていることを知って慌てて行ったというところ。ご本人も在廊されていた。なぜか、 amzonだと値段が11000円とか倍以上の値段が付いていた。どういう事だろう?ちなみに、蒼穹舎で購入したものは鈴木さんのサイン入りだった。

鈴木さんの写真はいつ見ても、ドキドキする。このドキドキの意味は、被写体に写っている人(僕の場合は女性)に対するドキドキと、もし自分が鈴木さんのようにカメラを構えたら、相手からのどんなリアクションが返ってくるかわからないという怖さ(主に男性の被写体)からくるドキドキの2つの意味で。

2023/01/07

川内倫子

 

昨日 2B Channelの川内倫子の話を見た。その中で意味ではなく形〜という話を開いて、彼女は、実は中平卓馬の系譜に連なるのではないかと思いついた。中平と言っても、「来たるべき言葉のために」の頃の彼ではなく、「なぜ植物図鑑か」の頃から病に倒れ、記憶を失って以降、縦位置で撮るようになた晩年の彼である。

言葉を捨て、意味を捨て、形を写す。そのようなイメージとしか表せない形を撮る。そういう中平が目指した写真、及び写真家の正統な担い手, 流れの中の先に彼女が居るような気がしてならない。