2017/07/30

荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-


東京都写真美術館で開催されている荒木経惟「センチメンタルな旅 1971-2017-」展にも観に行ってきた。センチメンタルな旅は写真集でも持っているが、彼女の死をもって初めて完成した作品となったかと思うと、写真の持つ「時間」の意味を改めて考えさせられる。

世界報道写真展2017


恒例の世界報道写真展東京都写真美術館観てきた。悲惨な写真、楽し気な写真、いろいろあったが、チラシの写真にもなっている網に絡まったウミガメの写真が説明書きを読まずとも心に響く説明不要な印象的な写真だった。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)


kindle版を購入。
2017にはすでに日本の女性の3人に1人は65歳以上となっていることには驚いた。

今まで東京のような大都市は地方から若者が流入することで出生率の低さをカバーしてきたが、地方は送り出す若者がもういない。となると、大都市の(もと)若者の高齢化が都市の急速な高齢化を引き起こしているということも納得できる。

本書前半に人口減少カレンダーとして2115年までの人口減少に関連するトピックが記載されているが、その内容は結構衝撃的である。日本は人口減少が進む一方、世界は人口増加が続きその結果としての食糧争奪戦に2050年頃日本も巻き込まれるかもしれないとは恐ろしい。
後半では、前半で示した最悪ケースを乗り越えるにはどうすればよいか、著者の提言が載っているが、なかなか妙案は無さそうである。

合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子供の推計値)は2015年は1.45まで下がっている。人口増加するには3以上が必要だが、奇跡が起きて3以上になったとしてもすでにこれまでの少子化の影響で母親になれる女性(女子)の数が減ってしまっているので少子高齢化が止まらない・・・

2017/07/23


kindle版を購入。日本軍の失敗を分析した有名な本「失敗の本質」を意識して書かれている。ただし、「失敗の本質」はそれなりの研究書だけれど、こちらは軽い読み物なのでさらっと読める。なので、「失敗の本質」ほどの質がある本ではない。著者のブログを書籍化したような内容なので、ブログを読んでいる人はどこかで一度読んだことがある内容かもしれない。ちょっとした時事評論的なものを読みたい人には良いのではと思う。
本書の中で

トップダウンの命令系統が機能するのは、トップに情報も集中している場合だ。日本の企業では現場が情報を独占しているので情報の非対称性が強く、現場にまかせる経営者が好まれる。

という一文がある。米国などの企業でもトップに情報が集中しているかというと、そうなのだろうか?と疑問に思う。やはり現場が情報を独占しているのは日本と同じように感じる。だが、違うのは、米国などの企業はジョブ範囲が明確に決められた職業である種専門職的であり、その担当する一部分の情報しか現場の個々人は持っていない。一方、日本はそこが総合職的なので事業内容のそれなりの範囲の情報を現場の個々人が知っている(共有している)ということはあるかもしれない。

2017/07/17

カーズ クロスロード


MX4D・吹替え版で視聴。最近MX4D版がある映画は必ずそちらを観に行ってしまう。カーズの3作目だと思うけれど、まあ期待を裏切らず楽しめました。マックィーンも年を取ってベテランとなり、新しい世代が台頭して敗れてしまう・・・という状況でもう一花咲かせるストーリーなのかと思いきや後継者が登場!ということに。興行的に成功したら続編はこの後継者中心で行くのか!?

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章(レンタル版)

レンタル版が出ていたのでamzon TVにて視聴した。
ちょっと、予定調和的過ぎるところが鼻につくのと、例のヤマトのテーマ音楽を使いすぎだと思う。あの音楽はやはりここぞというところで使った方が良いのではないかしら。

東芝解体 電機メーカーが消える日


kindle版にて読了。日本の電機メーカの最近の状況を時系列に解説してあり、そういった概要知識を得たい場合はとても役立つと思う。この本自体も「失敗の本質」を念頭に置いて著述されている。
日本の総合電機の隆盛は、電電公社・電力会社のドメスティックな囲い壁の中の競争環境における大量の投資に支えられていたというのが本書の見立てであり、電電公社(NTT)も電力会社(東電を筆頭として)もその力(投資余力)がなくなった途端、日本の電機メーカもその勢いを落とし、今までこの2社についていくことが戦略であったために行くべき方角を見失っているという。

「技術力はあるが○○が悪くて失敗した」という言い方をよく聞くけれど、物を作る力と売る力がバランスしていなければ決して成功しないし、ただでさえ総合電機で一部門だけを見れば少ないリソースを逐次投入していては、リスクをとってリソースを大投入してくるライバルには勝てやしない(技術力が本当にあるのかも眉唾だけれど)。

人間の性はなぜ奇妙に進化したのか


ジャレド・ダイアモンドの著作。原題は「Why Is Sex Sun?」らしい。人間の容貌における性的な面がどのように発達したのかや子育ての仕方等々、他の動物の豊富な比較事例を用いて浮かび上がらせ論じている。彼の著作が好きな人は間違いなくその文章に引き込まれるだろう。
ところで、あとがきか何かに次の著作では日本の縄文を取り上げると書いてあったけれどそのような内容の著作があったかな?と思って調べてみたら
『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章というものを見つけた。

東芝 大裏面史


創業者やオーナーでない人間が日本的な組織の中で失敗し暴走するとどうなるかの典型例が本書に書かれている内容だと思う。(常識的なコンプライアンスを守りつつ)無理をして成功することも億に一つの可能性としてはあるかもしれないが、多くは失敗する。その時に大やけどする手前で撤退できるかどうかが、ガバナンスが機能しているかどうかの目安の一つであるかとも思うけれど、誰もが無責任に流されてしまう。創業者やオーナーであれば責任を取ればよいけれど、サラリーマン経営者では責任がとりきれないとも思う。ましては、不正を働き続けて(あるいは気づかず・黙認して)経営者の地位に就任したり留まったりということは、たとえ法を犯していなくても比較高級な収入を詐取したと言われてもおかしくはあるまい。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究


あまりにも有名な本。太平洋戦争を中心とした数々の戦闘の敗北について、日本軍の組織的面から考証した一冊。こういう時期だけに手に取って読んでみた。
いくつか手元のメモから引用する(日付は私がメモした日付)。

■ 2017/06/28 本来、戦術の失敗は戦闘で補うことはできず、戦略の失敗は戦術では補うことはできない。
■ 2017/06/28 米海軍では一般に少将までしか昇進させずに、それ以後は作戦展開の必要に応じて中将、大将に任命し、その任務を終了するとまたもとに戻すことによってきわめて柔軟な人事配置が可能であった。
■ 2017/06/28 日本軍の作戦行動上の統合は、結局、一定の組織構造やシステムによって達成されるよりも、個人によって実現されることが多かった。(略)このように、個人による統合は、一面、融通無碍な行動を許容するが、他面、原理原則を欠いた組織運営を助長し、計画的、体系的な統合を不可能にしてしまう結果に陥りやすい。
よく日本の組織はボトムアップ式というけれど、組織として階層構造持っている以上上位者レベル(戦略)での失敗 は、下位者レベル(戦術)では補うことはできないということには納得。米軍は今でも上記のような柔軟な人事を行うのだろうか。だとしたらとても驚異的だと思う。また、原理原則って信賞必罰にもつながりますね。