2008/11/04

2008/11/04

日録

01

米大統領選、圧倒的過ぎてあっという間に結果がでてしまった。TVではアナウンサーが「This country has changed the history.」って叫んでいた。

[BOOK] 大統領になりそこなった男たち

大統領選間近ということで読んでみた。題名の通り、大統領の椅子を目指したが本選で破れたり、そもそも候補になることすらできなかったが、それなりに功なり名をあげた人物たち8名をとりあげている。本書で登場するこれらの男たちの多くがそれなりに雄弁であったことなどを思うと、(もちろん、その言葉の裏にはいろいろな思惑があるにせよ)スピーチというもの力が重要である共和政体の国なんだなぁと実感する。というか、真の士たるもの寡黙たるべしという日本の方が特殊な倫理で回っている国なのかもしれないが。

[BOOK] アメリカの宗教右派

こちらも大統領選間近ということで読んでみたもの。本書を読んでみて思うのは、最近の共和党政権でのいわゆる宗教右派(religious right)の(投票)影響力やブッシュ(子)大統領のボーンアゲイン体験の語りなどからことさら大きく彼らの力が広言されてきたようにも思う。だって、かれら急進派の重要目標である、同性愛結婚禁止や中絶禁止についての憲法での明示などはどれも実現していない。本書で書かれている通り、6-70年代の民主党政権下における行き過ぎたリベラリズムによる市井の”常識的”な中道市民たちが過激なリベラリズムに対する嫌悪からちょっと右にずれたことによる揺れ戻しだったのだろう(もちろん、アメリカは広いので州によってその色合いは様々だけれど)。

[BOOK] 果てしなく美しい日本

題名だけをみると最近のウヨク作家が書いた本に思われるかもしれないが、ドナルド・キーンによって19050年代後期に書かれた日本についてのアメリカ人向けの紹介本の翻訳である。その頃の日本の習慣などについては、ああそういう時代だったのだろうなぁと納得したり、歌舞伎・人形浄瑠璃・能などの関連性とその違いなどは外国人なみに知識のない僕には勉強になった。日本人に生まれ育った以上やはり日本のことはきちんとおさえておかないと外国人と接するときに何も語れなくなってしまい、ただ相手の文化を称揚するだけになってしまう。現代文化を語ることも重要だけれど、ちゃんと伝統文化もそれなりに深い知識として備えておかないと、相手の外国人の方が源氏物語とか詳しかったりして軽蔑されてしまうと思う。(まったく本書とは関係ない話ながら)それにしても、やっぱり鹿鳴館は最悪の政策だったな思うし、そういう意味でも赤坂迎賓館は最悪だ。なんであんなベルサイユ宮殿もどき1を外国からの賓客を迎える施設に使っているのだろう。フランスの植民地から独立した国家ではあるまいし。

[BOOK] 百億の星と千億の生命

カール・セーガンによるエッセイ。軽い読み物なので、すぐに読めてしまうけれど地球と我々の関わり合いなど色々示唆に富むメッセージがあり、内容も悲観的な調子にならず悪魔でも前向きに希望の持てる書き方となっている。

[BOOK] アマテラスの誕生

皇室の皇祖神としての天照大神の誕生の経緯や関係の深い伊勢神宮の設立経緯を探ったもの。よくよく考えると伊勢神宮の歴史は古墳時代とかではなくそれほど昔でもない天武・持統の頃に成立したということに改めに驚く。

[BOOK] レ・ミゼラブル(一)

[BOOK] レ・ミゼラブル(二)

[BOOK] レ・ミゼラブル(三)

[BOOK] レ・ミゼラブル(四)

ご存知ユーゴー作「あゝ無情」。宗教 vs. 国家を読んだあとに興味を持ち読んでみた。それまでレ・ミゼラブルというとミュージカルの宣伝で見られる少女(コゼット)の絵のみの知識しかなかった。4巻もあり結構長い小説ではあるが、そのうちのかなりの部分において当時のフランス(パリ)についての背景説明が占めている。純粋に物語を楽しもうとすると少々飽き飽きもしてくる。物語だけを楽しめればよいと言う向きにはそれらの背景説明の部分はどんどんすっ飛ばしてもよいかもしれない。物語だけを見ると、「あゝ無情」というが最後はハッピーエンドで終わり、改悛して日々(本書ではキリスト教的だが、あくまで人類普遍的な)倫理にのっとった生活を送れば、結局幸せになれるというずいぶん説教じみた物語であるように感じられなくもない。


  1. 建築家の父に言わせれば、赤坂離宮(迎賓館)を建てたおかげで日本の洋式建築技術が発達したということだけれどねぇ・・・↩︎

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