2007/04/29

2007/04/29

[PHOTO] 日録

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レオナルド・ダ・ヴィンチ展

上野の国立博物館で開催されている「レオナルド・ダ・ヴィンチ —天才の実像」展へ行く。この展覧会のメインはフィレンツェのウフィツィ美術館からやってきた「受胎告知」だ。しかし想像していたよりも実際の絵のサイズは小さかった(98x218cm)ことや、GW中ということもあり「受胎告知」の周りはまるで一昔前の上野動物園のパンダ並の行列で落ち着いて細部まで鑑賞するどころの話ではなった。

このようなわけでじっくり鑑賞はできなかったが、まず絵を観て視線が行くのは一点遠近法により導かれる遠景の山である。そして手前左に位置する天使が履く彩度の高い赤で塗られたスカート、手前中央右にある明度の高い書見台、マリアの膨らんだ下腹部へと視線が移動させられていくように感じた。処女懐胎を示すためだろうが、大人の女性を感じさせるふくよかな体と少女の顔がとても違和感を感じさせる。その他には、手前の天使が跪いているあたりの草花や中景の木々はあまりリアリティ(というか立体感)を感じないのはどうしてだろうか。

その他にもダ・ヴィンチの残したメモ帳などが展示してあったが、これらを見ると、まさにレオナルド・ダ・ヴィンチのオタクぶりが伺えて興味深い。

展覧会のカタログの中にダ・ヴィンチの人生は旅の人生であったと記され、移動した経路を示した図が収録されていた。それを見て、ダ・ヴィンチが一時期チェーザレ・ボルジアの元に居たことを思い出し、映画「第三の男」の中でオーソン・ウェルズが言ったセリフ「ボルジアの恐怖政治はルネサンスを産んだが、スイスの平和は鳩時計を産んだだけだ。」(不正確かも)をふと思いだした。