2024/11/02

とるにたらない美術 ラッセン、心霊写真、レンダリング・ポルノ


先日東京都写真美術館で開催されていた「現在地のまなざし/The Gaze of the Present 日本の新進作家 vol.21」を見た際に、展示の最後のエリアを担っていた原田裕規の"One Million Seeings"が気になっていた。捨てられた売り物にもならない行き場のない写真の束。Alec Sothの"a pound of pictures"に似たコンセプト(きっかけ)だが、それを写真との関係性が結ばれるまで見るということを1枚1枚繰り返し、約24時間の映像作品としたもの。展示場の出口を出ると、そこにはまさに写真の束が無造作に机の上に置かれていた(自由に触って見ることもできる)。帰り際に同時に見たSoth展のカタログを購入しようとして美術館2階のNADiffによったところ、この本が目に止まった。目次を見ると、第一部は「クリスチャン・ラッセンと日本」という文章。著者来歴を見ると一時期とても話題になった「ラッセンとは何だったのか?」の編著者であることに気づいた(でも多分私自身はは未読だと思う)。俄然この本が気になり出し、購入。

内容は、著者の論文・随筆を集めて一冊の書籍としたもののようで、表面上は各章のトピックにそれほど関連性はない(視覚などへの考察という点で共通項はあるけれど)。また、著者なりの結論を出している文章とそうでなく、まだ研究中・探索中らしき文章もある。その辺りのバラバラ感は一冊の書籍としてはどうかなとも思ったけれど、各章とても興味深かった。

「アール・ローランのダイアグラム」で紹介されていた「セザンヌの構図」(絶版本)には興味を引かれたので早速図書館から借りてきた。

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