たまたま書店で面白そうな本はないかと物色していたところ、この本に出会い購入。私自身は、コンテキストとかステートメントの予備知識や理解がどうしても必要だったりするのでいわゆる現代アートは苦手の部類。ここでいう現代写真もファインアートの流れに組み込む・組み込まれた写真のことかと思って読み進めたが、ウィリアム・エグレストン、スティーブン・ショア、中平卓馬・森山大道(PROVOKE)などが現代写真の創世記・プロローグとして語られる。そして80年代、90年代の写真家・・・と語られ、最後はAR/VRで終わる。写真の掲載はほとんどないため、取り上げられた写真家(作家)がどのような作品を作っているのかは筆者の語り口のみからしか想像できない。もちろんGoogleなどで検索すれば一部を知ることができるが、特に後半に紹介される写真家(作家)の名前は私としては初見の人ばかり出会ったため、今度じっくり調べて興味が湧く写真を見つけたら写真集を見てみよう。ちなみにサム・フォールズは雑誌IMA Vol. 41を見て知っていた。
筆者が巻末に「来るべき写真のためのブックリスト」と称して、大きく変容しつつある写真を考えるためのリストを提供している(本書の帯のコピーが「写真をre-thinkする」である)。調べてみると既に絶版なのか品切れとなっていて入手が古書でのみとなっているものも多い(そして現代写真を論ずるにあたって重要な本なのであろうから、出版時の価格よりかなり高くなっているものばかりだ)。
来るべき写真のためのブックリスト:(本書巻末のリストに掲載されている書籍の出版元サイトのページをリンク(一部のぞく))
- <購入済>ヴァルター・ベンヤミン『複製技術時代の芸術』佐々木基一編集解説、晶文社、1999年
- <購入済>スーザン・ソンタグ『写真論』改版、近藤耕人訳、晶文社、2018年
- <購入済?>ロラン・バルト『明るい部屋|写真についての覚書』新装版、花輪光訳、みすず書房、1997年
- <品切れ>プラッサイ『プルースト/写真』上田睦子訳、岩波書店、2001年
- <購入済>ヴィレム・フルッサー『写真の哲学のためにーテクノロジーとヴィジュアルカルチャー』深川雅文訳、動草書房、1999年
- ジョン・シャーカフスキーほか『写真の理論』甲斐義明編訳、月曜社、2017年
- <品切れ>ジャン・ボードリヤール『消滅の技法』梅宮典子訳、PARCO出版、1997年 (PARCO出版のWebサイトに掲載なし)
- <購入済(英語版)>スティーヴン・ショアー『写真の本質一人門書』平石律子訳、ファイドン、2010年
- <品切れ>ダグラス・エクランド『The Pictures Generation, 1974-1984』メトロポリタン美術館、2009年 (Google books)
- <品切れ>トニー・ゴドフリー『コンセプチュアル・アート』木幡和枝訳、岩波書店、2001年
- <pdf>ピーター・ガラシ『Pleasures and Terrors of Domestic Comfort』 ニューヨーク近代美術館、1991年
- <品切れ><図書館で借りた>シャーロット・コットン『現代写真論ーコンテンポラリーアートとしての写真のゆくえ』新版、大橋悦子/大木美智子訳、晶文社、2016年
- <品切れ>シャーロット・コットン『写真は魔術ーアート・フォトグラフィーの未来形』深井佐和子訳、光村推古書院、2015年
- シャーロット・コットン『Public, Private, Secret On Photography and the Configuration of Self』アパチャー、2018年
- <品切れ>久保田晃弘/畠中実『メディア・アート原論ーあなたは、いったい何を探し求めているのか?』フィルムアート社、2018年 (試し読み)(Kindle版)
- <品切れ>エリック・マクルーハン/フランク・ジングローン編『エッセンシャル・マクルーハンーメディア論の古典を読む』有馬哲夫訳、NTT出版、2007年
- <品切れ>ディヴィッド・ホックニー『秘密の知識ー巨匠も用いた知られざる技術の解明』普及版、木下哲夫訳、青幻舎、2010年
- ゲルハルト・リヒター『ゲルハルト・リヒター 写真論/絵画論』増補版、清水訳、淡交社、2005年
- <品切れ>ワリード・ペシュティ編『Picture Industry: A Provisional History of the Technical Image, 1844 2018J JRP Ringier、2018年
- 後藤繁雄『東京広告写真』リトルモア、1994年後藤繁雄『写真という名の幸福な仕事』アートビートパブリッシャーズ、2003年
- 後藤繁雄『超写真論ー篠山紀:写真力の秘密』小学館、2019年
- 後藤繁雄『現代写真』リトルモア、2023年
- <品切れ>後藤繁雄/港千尋/深川雅文編『現代写真アート原論|「コンテンポラリーアートとしての写真」の進化形へ』フィルムアート社、2019年 (試し読み)
- 後藤繁雄/港千尋『anima on photo』アートビートパブリッシャーズ、2014年
- 後藤繁雄/港千尋『hyper-materiality on photo』アートビートパブリッシャーズ、2015年
- レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語ーデジタル時代のアート、デザイン、映画』堀潤之訳、ちくま学芸文庫、2023年
- ケヴィン・ケリー『テクニウムーテクノロジーはどこへ向かうのか?』服部桂訳、みすず書房、2014年
- ケヴィン・ケリー『インターネットの次に来るもの↓未来を決める12の法則』服部桂訳、NHK出版、2016年
- <品切れ>ジェームズ・ブライドル『ニュー・ダーク・エイジーテクノロジーと未来についての10の考察』久保田晃弘監訳、栗原百代訳、NTT出版、2018年 (Kindle版)
- ヒト・シュタイエル『デューティーフリー・アートー課されるものなき芸術星を覆う内戦時代のアート』大森俊訳、フィルムアート社 2021年
- 安部公房『箱男』改版、新潮文庫、2005年
- ミラン・クンデラ『不減』菅野昭正訳、集英社文庫、1999年
- リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』上下巻、柴田元幸訳、河出文庫、2018年
- W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』新装版、鈴木仁子訳、白水社、2020年
- ミシェル・ウエルペック『地図と領土』野崎歓訳、ちくま文庫、2015年

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