特に買う本も無く池袋のジュンク堂を訪れ、棚から棚へ何か面白そうな本はないかと物色していたらこの本を見つけた。この本を読むまでは、私は著者の柳本さんを知らなかった。中平卓馬が編集者から写真家になり活躍していく60年代後半の中平卓馬やその周辺の事柄について、助手?のように近くにいることが多かった著者が、記憶を呼び起こして日記風?にまとめたもののよう。
近年の葉山の神奈川県立美術館や東京国立近代美術館の展覧会、ギャラリーでの展示など、2015年に亡くなった中平のブーム?がまた来ているのか。
写真を撮り始めて、写真について色々と考え出し文字情報を漁りだすと、必然的に中平卓馬の写真についての言説に出会う。中平の書籍などでの言説のみが純化され中平のイメージとなっていく。そこである種の人たちは感化され、一種の中平教の信徒になる。そうなると、亡くなった人のことでもあるし、どんどんカリスマ化されていく。(本当は文章で写真を理解した気になるのではなく、写真から考え、自分なりの理解を導き出すべき何だとは思う。)
そんな中で、50年後に思い出して書かれたものとはいえ、中平の近くにいた人が普通の中平を記録して置くのはとても大切だと思う。中平の言説だってその中から産まれてきたわけだろうし。
柳本さんの「日記」は1971年に中平がパリビエンナーレに行くところで終わる。この辺りまでが、柳本さんと中平が濃密に付き合いのあった時期だったのかしら。
エピローグで、1977年に中平が倒れた直後のことなども少し触れられている。

0 件のコメント:
コメントを投稿