2008/12/30

2008/12/30

[BOOK] ローマ亡き後の地中海世界(上)

「ローマ人の物語」の続刊的(?)性格を持つ、塩野七生の新刊。12月20日発売だけれどLAの書店でもすぐに手に入った。ローマ帝国による秩序ある地中海世界が崩壊した後のキリスト教世界とイスラム教世界をイタリアを中心として主に地中海西側について、秩序が崩壊してしまった後にやってきた中世がどのようなものであったかを海賊を主題に添えて述べている。しかし、西欧世界が北アフリカを植民地化するまでの間、ずっと誘拐稼業(奴隷制度)が存続していたというのに驚かされる。そしてあらためて秩序が崩壊して停滞していたヨーロッパ中世というものにも気づかされる。

(P.114)小さな共同体内での自給自足と聴くと理想的で平和な生活かと思ってしまうが、実際は無駄の多い生き方なのだ。別の住民共同体では多量に生産され、そこから買えば済むものまでも”自給”しなければならないからである。これがまた、生産性の低下に結びつくのだった。

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