[BOOK] 旧約聖書を知っていますか
初めて阿刀田 高の文章を読んだがもとがエッセイということもあるのか非常に面白く読めた。これまで幾度となく旧約聖書にチャレンジしてその度に砕け散ったものとしては「聖書では〜」みたいな場面で知ったかぶりする程度までで良ければこの本を読んでおけば十分であると思う。
有名なサムソンの節に登場する”悪女”デリラに関し作者が、(確か)「魅力的な女性は本人が自覚しようとしまいととどのつまり男から見れば悪女である」と述べているのが思わずうんうんそうだなぁと男の私は過去の苦い(?)経験から同意してしまうのである。
また、実存主義(サルトルとかのやつですな)に関しても「ペーパーナイフを考えてみると、ペーパーナイフは何の目的のために作られて、そのためどのような機能を有しているかはそのペーパーナイフが存在する前から規定されている(つまり本質が先にある)。しかし人間は、まずなぜだか偶然にも存在(実存)し、後で人間とはどのようなものかを人間自らが決定する(つまり本質より実存が先にくる)。」と実存主義をやさしく解説してくれている。うーん納得、若かりし高校生の頃、サルトルの小説読んでもさっぱりだった私の脳味噌も一気に理解した気になってしまった。ちなみに作者はとてもわかりやすい実存主義の解説書としてサルトルの「実存主義とは何か」を挙げている。今度読んでみよう。