[BOOK] ユニコード戦記
ユニコードの標準化活動(ISO/IEC、ユニコードコンソーシアム)にたずさわっていた著者による活動の記録。標準化活動というものがどのようになされていくのかがよくわかり、非常に興味深く読めた。標準化活動そのものだけでなく、著者がかかわった文字コードとその視覚的表現形式であるグリフとの関係などについても非常に勉強になる。例えば、活版活字の時代には文選工と呼ばれる職人が手書き原稿から彼らが判断して適切と思われる活字を選択していたこと。その頃は、著者などから字形自体にそれほどクレームがなかったし、あったとしても文選工の持つ深い知識に基づく反論等によりそれが排除されていた。しかし、写真植字の普及に伴い、そういった職人は姿を消し経験の浅い写植オペーレータが字形を選ぶようになってきて、(写植では比較的容易に字形が作成できるため)著者等からのクレームを受け入れることが多くなり(メディアにのる)字形(異体字)の使用が増えてきたことなどから、それにともない一般大衆も(メディアにのる)字形に気を使う風潮がでてきたなどといったことは非常に興味深い。